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2007年03月06日
285.債権回収の方法 第2回(支払わない理由)
債権回収の方法第2回目は、債権発生の根拠となる商行為、債務者が支払わない原因にスポットを当てていきたいと思います。
事例
Aさんは卸売業者です。取引先のBさんに100万円の商品を翌月10日現金支払いの約束で納入しました。
しかし約束期日である10日を過ぎても、Bさんは商品代金を支払ってくれません。
当然のことですが、債権が法律上発生するためには何らかの法律行為が有効に成立しなければなりません。
事例の場合であれば、AさんからBさんへの商品の売買契約などです。
この法律行為が有効に成立していないと、請求する債権自体が根拠の無いものとなってしまいます。
例えば、Aさんが納入した商品が、Bさんが注文した商品と違った場合などはどうでしょうか?
一般的に売り主は売買目的物の引き渡し義務を負い、買い主は代金の支払い義務を負います。
Aさんが納入した商品が契約の目的物とは違う物であった場合、Aさんはまだ売り主の義務を果たしていないことになりますので、Bさんはそれを理由に支払いを拒んでいるのかもしれません。
また、商品の数が足りなかったり、商品自体に何らかの問題(瑕疵)があってそれが原因で支払いを拒んでいることも考えられます。
この様な場合には、請求を考えることよりも、まず完全に自分の義務を果たすことを考えなければならないですよね。
こういった原因が除去されれば、Bさんはすぐに支払いをしてくれるかもしれません。
請求の基礎となる売買契約が有効に成立し、Aさんが義務を履行していたとしても、他の原因がある場合もあります。
例えば、Bさんは支払う意思も資力もあるのに、何らかの手違いで請求書がBさんに届いていなかったり、指定の日にAさんが代金を取りに行く約束だったのに行かなかったりが原因でBさんの支払いがない場合もあります。
また、AさんがBさんに対して別の買掛金があり、Bさんが前述の債権と相殺(そうさい)を主張している場合もあります。
これらも原因を見つけだし、対処することによってすんなり解決することが出来るでしょう。
この様に売買1つをとっても、Bさんが支払わない原因はいろいろなものが考えられます。
債務者に支払いをしないことに正当な理由があれば、債権の回収を図ることは難しくなってきます。
支払いのない債権を請求する場合には、まずAさんの義務はしっかり履行されているのか、Bさんが支払わない理由は何なのかを調べ、それに対処することが、債権回収の第1歩となるでしょう。
司法書士 大竹弘幸
投稿者: 日時: 2007年03月06日 12:12 | パーマリンク | ▲このページの上へ
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