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2007年03月29日
286.債権回収の方法 第3回(回収方法の検討)
債権回収の方法第3回目は、回収方法の検討について書いてみたいと思います。
事例
Aさんは卸売業者です。取引先のBさんに100万円の商品を翌月10日現金支払いの約束で納入しました。
しかし約束期日である10日を過ぎても、Bさんは商品代金を支払ってくれません。
第2回目の記事では債務者が支払いをしない理由の追及について書きました。
では、債務者が正当な理由がなく、支払いを拒んでいる場合、次にやらなければいけないことは何でしょうか?
相手の店に押し掛けて請求を催促する、支払いの催告書を内容証明で送るなどいろいろ考えられます。
特に前者の会って支払いを請求することは大事なことですね。
私達が債権の回収の依頼を受ける場合などは、直接私たちが回収に出向くということはなく、ほとんどの場合は債務者への催告書の発送から始まります。
直接の集金や取り立てなどは弁護士法で禁止されていますので、裁判の受任を受けた上で法律上の手続きを使って債権の回収をするにとどまります。
しかし、債権者が債務者と会って支払いを請求するということは、債権の現実的回収手段としては非常に大事なことですし、かなり効果があることでもあります。
例えば、内容証明などで催告するだけであれば、相手によってはまったく無視されてしまい、あまり効果がないかもしれません(特に請求慣れしている人の場合に多くあります)。
しかし、債権者が直に集金に来たとなると、簡単には無視することも出来ませんし、相当な債務者への心理的プレッシャーにもなります。
ここで回収できれば丸く収まるのですが、多くの場合は債務者の言い訳などで回収できないことがほとんどでしょう。
こんな時、みなさんは支払ってくれないからといって、そのまま帰ってきてませんか?
この直接債権回収に出向いた時こそ大事な時なのです。
ここでは出きる限り債務者の身辺の情報収集をしてください。
例えば、商売の状態は順調なのか、売り上げは毎月ちゃんと上がっているのか、債務者の取引先で倒産したところなどはないのか(連鎖倒産)などの情報を出きる限り収集すると良いでしょう。
この様な情報を集めることによって、債務者がなぜ支払わないのかの原因が見えてくるかもしれません。
一時的な資金の不足が原因であれば、少し期間をおくことにより債権が全額回収できるかもしれません。
また、倒産の恐れがあったり、取引先との連鎖倒産の恐れがある場合には、担保となりそうなものがあればいち早く押さえておく必要があります。
債権の回収ではどれだけ情報を収集できるかが回収の可否の鍵となります。
情報が集まり、それを分析し回収手段を検討すれば、今後の債権回収の方向性が見えてくるでしょう。
また、直接会って債務者と話すことは、和解案の模索にも役立ちます。
なるべく良い条件で和解を締結でき、債務者が和解案に従って支払ってくれたら、これもあまり手間をかけずに債権の全額を回収できる可能性が出てきます。
和解内容として保証人をつけさせたりできれば、債権回収の確立はグンと上がってくるでしょう。
現在もまったく資金が不足しており、将来的にも事業の見通しがたたないようであれば、残るは法的手段で回収を図る方法を取らざるをえないでしょう。
しかし裁判に勝って、判決を取っても、債務者に何も取り立てる資産がなければ、あまり意味がない可能性もあるのですが・・・・。
司法書士 大竹弘幸
投稿者: 日時: 2007年03月29日 09:44 | パーマリンク | ▲このページの上へ
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