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2006年10月02日
231.出資の払込があったことを証する書面の取り扱い
Q: 会社法の改正により、設立や新株発行登記の際に必要だった出資払込金保管証明書の取り扱いが変わったと聞きました。具体的にはどのように変わったのでしょうか。
A: 発起設立等の場合に、 金融機関が発行する出資払込金保管証明書の添付が強制されなくなりました。
これにより、新しく株式会社を設立する際に資本金の制限撤廃とあわせて、比較的楽に会社を作れるようになりました。
5月の会社法改正前は、会社を設立する際に、出資する資本金全額を銀行の特殊な口座に全額振り込み、銀行から「払込金保管証明書」という書面を発行してもらい、登記に添付しないと設立登記をすることが出来ませんでした。
この手続きが実際の設立作業の中ではとても大変だったのです。
何が大変かと言いますと、銀行がこの手続きをなかなか受けてくれないのが実状でした。
他に事業をやっている方が2社目、3社目として会社を作るのであれば、既存の取引銀行に申し込めばすんなり行くケースが多いのですが、サラリーマンの方が起業する場合などは、もともと取引銀行なんてそんなにありませんから、銀行探しで一苦労です。
給与の振り込み口座や水道光熱費の引き落としをしている口座がある銀行に申し込みをする等いろいろな方法で払込取扱銀行を決めていました。
発行までの日数も、ケースによっては、申し込みから2週間かかるなんてこともありました。
この手続きが、会社法改正後は、一定の条件の場合(発起設立という形態の場合)には銀行の払込金保管証明書の添付が不要となったのです。
改正後の設立登記には、銀行の「払込金保管証明書」のかわりに、設立時の代表者が「出資の払込があったことを証明する書面」を作成し、添付することになります。
銀行での審査や保管証明書発行の日数が不要となりますので、設立を急ぐ場合などは手続きを計画的におこなえば、最短1日で登記を申請することも可能です。
もっとも、新しい会社の謄本が取れるようになるのは、法務局の設立調査手続きがありますから、約1週間ぐらいはかかるかと思います。
司法書士 大竹弘幸
投稿者: 日時: 2006年10月02日 15:19 | パーマリンク | ▲このページの上へ
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