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2006年09月12日
153.行方不明の夫の財産の処分
Q: 夫が5年前から行方不明になってしまいました。最近は預貯金も底をついてきて生活費にも困っている状態です。現在の自宅は夫の名義であり、幸いにも所有権移転に必要な夫の実印や印鑑証明書等は私(妻)がすべてもっています。他に財産もなく、生活費を捻出したいので、私が夫の代理となり売却しようかと思うのですが大丈夫でしょうか?
A: この場合、妻が夫の代理人となり、夫の承諾無く売却することはかなり困難だと思います。
まず、妻が夫の代理人となり、不動産を売却するためには、基本的には売却に関する明示的な代理権の授与(与えること)が必要になります。夫名義の不動産は夫の財産ですので、夫婦だからといって妻だけで処分することは出来ません。
実印や印鑑証明書がを家に残してあることによって、妻に代理権を与えたのではないかとの考え方も出来るかもしれませんが、不動産の処分というのは、重要な処分行為となりますので、明確な代理権なくしては、これも無理があると思います。
実際の取引でも、買い主は夫が売買を追認するまでは、完全に有効な売買の効力が発生しませんので、買い手もつかず、事実上売却できないでしょう。
しかし、このような場合にも、ちゃんと法律上有効に売却出来る制度があります。
不在者の財産管理人の制度を利用する方法です。
これは不在者(従来の住所又は居所を去って、容易に帰ってくる見込みのない人のことです)の財産の維持・管理をするために、家庭裁判所に不在者の財産管理人の選任申し立てをし、その選任された財産管理人が不在者の代理人になる制度です。
通常の維持管理の権限を越える行為をする場合(売買などはこれに当たります)は、家庭裁判所の許可を得れば、財産管理人が代理人となってすることが出来ます。
夫が行方不明である事情、妻の生活状況、不動産の処分の必要性を訴えれば、家庭裁判所から売却許可の決定がおりる可能性は高いと思います。
司法書士 大竹弘幸
投稿者: 日時: 2006年09月12日 16:12 | パーマリンク | ▲このページの上へ
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