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2006年08月30日

128.登記識別情報で取引する場合、従来の取引との違い


Q:  法改正により、登記済権利証にかわる登記識別情報がパスワードなのはわかったのですが、実際の取引ではどのような違いが出てくるのでしょうか?



A:  平成17年3月7日以降は、不動産登記法の改正により、登記をしても原則従来の登記済証(権利証)は発行されなくなり、登記識別情報(パスワード)が発行されるようになりました。

 ただし、全国一律にすべての登記所で、この日から登記済証(権利証)が発行されないわけではありません。

 登記済証(権利証)が発行されなくなり、登記識別情報に切り替わるのは、その登記を提出した登記所がオンライン指定庁に指定された日以降となります。

 ※オンライン指定庁 → 法務大臣から指定を受けた、オンライン(インターネット)で登記申請が出来
                 る登記所

 オンライン指定日までは、経過措置で登記済証(権利証)を請求すれば従来と同じものが発行される取り扱いです。

登記をした際に、法務局の指定用紙にパスワードが記載されて交付されます。

 これは従来の登記済証と大きく違い、パスワード自体が重要なものなので、他の紙に書き写したものでも、コンピュータに保存してあったものをプリントアウトしても、パスワードさえわかれば全く効力に問題はないことになります。

頭の中に記憶しているだけでも、権利証をもっているのと同じことになります。

ここまでが大雑把な登記識別情報のとらえ方です。


 登記を伴う不動産取引で、司法書士が介在してればこの辺りの事前案内や確認はやってくれると思いますが、一般の方がご自身で登記をする場合などは、事前にかなり勉強して理解しておかないとトラブルの原因になるのではないかと思います。

この登記識別情報には、私たち司法書士を困らせる要因もあります。

パスワードであるが故、紙に書いてあるものを見せていただいたり、聞いたりしてもそのパスワードは現在有効なものかどうかはまったくわかりません。

そうなると、パスワードの有効性を何らかの方法で確認する必要が出てくるのですが、確認方法が事実上1つしかないのです。

この確認方法とは、その不動産の管轄登記所の窓口でパスワードの有効証明書というものを取得することが出来ます。


しかしこれが大変なこともあります。


たとえば、東京都内で、茨城県内の不動産の売買取引をするとします。

通常、決済する際に、司法書士が登記の必要書類がすべてそろっているか、有効か等を確認した上で売買代金の支払い等取引を進めますが、登記識別情報が必要な場合には事前に有効かどうかの証明が原則必要となります。

 今まで取引の際には、所有者の方に登記済証(権利証)をお持ちいただき、原本に間違いないか、偽造されたものではないか等を目視により確認できたのですが、登記識別情報はパスワードであるが故に、見ただけでは有効なものかどうかが全くわからなくなってしまいました。

そうなると、登記識別情報の有効性の確認のために、茨城県の管轄法務局へ事前に行って有効証明書を取得しておかなければなりません。

(このパスワードは、申請により失効させることもできるので、出きる限り取引時間近くに取得しないと事故リスクが高まります)

これを司法書士の側で行くか、所有者に取得してもらうか。

どちらにしても大変な費用と手間がかかります。

 司法書士が行く場合には、所有者の実印付き委任状と印鑑証明書が必要になりますので、事前に所有者の方に時間を作っていただいてお会いし、本人確認をした上で署名捺印をいただく必要が出てきます。

 取引場所に近い登記所で有効証明書を取得できれば、お客様の負担も減るのですが、現在法務局ではそのような取り扱いの変更はまったく予定していないようです。

 インターネットでのオンライン申請が普及すれば、このような問題はある程度クリア出来るかもしれませんが、それが5年先になるか、10年先になるか、現在では見通しがたっていません。

司法書士 大竹


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投稿者: 日時: 2006年08月30日 12:09 | パーマリンク |   ▲このページの上へ
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