174.婚姻成立の要件

Ｑ：　　婚姻が成立するための要件は何ですか？

Ａ：　　法律上の夫婦となること、つまり婚姻が成立するためには、当事者の婚姻意思の合致があることのほか、戸籍法の定めるところによりこれを届け出る（婚姻届を提出する）ことが必要です（民法第７３９条）。

この婚姻の届出は、法律上の条件をクリアしていないと受理されません（民法第７４０条）。

以下の場合には、婚姻の届出が受理されないことになります。

①　婚姻適齢に達していないとき　→　男性は満１８歳に、女性は満１６歳にならなければ婚姻できません（民法第７３１条）。

年齢的にあまりに早い婚姻は望ましくないとの趣旨とされています。

②　重婚にあたるとき　→　配偶者のある者は、重ねて婚姻できません（民法第７３２条）。

わが国は一夫一婦制である以上、重婚は禁止されています。

③　再婚禁止期間を過ぎていないとき　→　女性は、前婚の解消又は取消の日から６ヶ月を経過した後でなければ、再婚できません（民法第７３３条第１項）。

女性が懐胎している場合において、その子が前の夫との間の子か、今の夫との間の子か、という父子関係をめぐる紛争の予防を目的としています。

したがって、女性が前婚の解消又は取消の前から懐胎していた場合には、その出産の日から、再婚できることになります（民法第７３３条第２項）。

また、前の夫と再婚する場合、又は前婚が夫の失踪宣告若しくは３年以上の生死不明による裁判上の離婚により解消した場合には、再婚禁止期間内でも再婚できます。

④　近親婚にあたるとき
（１）　直系血族（例えば、自己と父母、祖父母、子、孫など、上下の直線的につながる血縁者）又は三親等内の傍系血族（自己と兄弟姉妹、甥姪、叔父叔母）の間では、婚姻できません（民法第７３４条第１項本文）。
ただし、養子と養方の傍系血族（例えば、養子と実子）との間では婚姻できます（同条同項但書）。

（２）　直系姻族（例えば、自己と配偶者の父母、自己と子の配偶者）の間では、婚姻できません（民法第７３５条）。姻族関係が終了した後も同様です。

（３）　養子、その配偶者、直系卑属（子、孫など）又はその配偶者と養親又はその直系尊属（父母、祖父母など）との間では、婚姻できません（民法第７３６条）。親族関係が終了した後も同様です。

いずれも優生学上、道義上の理由によるものとされています。

⑤未成年者の場合、父母の同意がないとき
未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければなりません（民法第７３７条第１項）。
ただし、父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足り、父母の一方が行方不明のとき、死亡したとき、又は意思表示ができないときも同様とされています（民法第７３７条第２項）。

司法書士　榎本