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2006年09月29日
230.飲食店のツケはいつまで支払い義務があるの?
会社帰りについつい寄ってしまう馴染みの飲み屋さん。
長年通っているので、日々の飲み代もツケで給料日にまとめて支払いなんてこともありますよね。
(居酒屋なんかは基本的にはツケはききませんが)
この飲食代の法律上の支払い義務って、何年間だか知ってますか?
これは民法第174条に規定があり、1年間で消滅することになっています(消滅時効といいます)。
つまり、1年間払わないと支払い義務が無くなるということです。
もちろん支払い義務がないのですから、飲食店側からも訴訟等を提起することも出来なくなります。
ほとんどの飲食店の経営者はこのことを知っているので、何の請求もなく1年を経過することなどほとんど無いでしょうね。
場合によっては、支払いを催促する内容証明書が送られてくる場合もあります。
内容証明が来ると、普通はビックリして「払わないと」と思いますよね。
この支払いの催促(法律上、催告といいます)は、法律上の効力として、お客さんに支払いを請求することと同時に、前記の消滅時効の進行を止める働きがあります。
ただし、消滅時効の進行を止めるには条件があり、飲食店側で請求後6ヶ月以内に裁判上の請求(訴訟提起など)や差し押さえ等をしないと時効停止の効力が発生しません。
内容証明が来ただけで他に何もなければ、1年経過するとやっぱり支払い義務が無くなるってことです。(そのような行為を勧めているのではないので、念のため)
逆に、飲食店側から見ると、内容証明を送ったからといって安心していると、1年を経過して請求できなくなった、なんてことにもなりかねませんのでご注意ください。
ちなみに、1年経過前に、飲食代を請求されて、「そのうち払うから」なんてうっかりいってしまうと、これは法律上債務の承認(債務があることを認めること)となり、前記の消滅時効は停止します。(つまり支払い義務は無くならないということです)
司法書士 大竹弘幸
投稿者: 日時: 2006年09月29日 22:17 | パーマリンク | ▲このページの上へ
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