300.貸金業者から取引履歴の開示請求を拒否されたら

Ｑ：　　自分で債務整理をしようと思い、金融機関に取引履歴の開示請求をしたら、「ATMで都度伝票を発行しているのだから、それを使ってください。無くしたのならそれはあなたの責任なので、開示請求には応じられません」と言われてしまいました。
取引年数が１０年近くあるので、過払金が発生するの可能性が高く、何とか金融機関から取引履歴を入手したいのですがどうすればいいのでしょうか？

A：　　貸金業者には、取引履歴を開示する義務があるので、強行に取引履歴の開示を求めた方がいいでしょう。

平成１７年７月１９日、貸金業者キャスコに対する判決では、最高裁判所は「貸金業者は、債務者から取引履歴の開示を求められた場合には、その開示要求が乱用にあたると認められる特段の事情がない限り、貸金業法の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として、信義則上、保存している業務帳簿に基づいて取引履歴を開示する義務を負う」と判示しています。

また、「貸金業者がこの義務に違反して、取引履歴の開示を拒絶した場合には、その行為は違法性を有し、不法行為を構成する」とも言っています。

取引履歴の開示は、過払い金の返還を求める上でも、非常に重要な書面となります。

貸金業者の中には、取引履歴の開示に応じなかったり、少ない年数の開示しかしなかったりなどの不誠実な対応もよく聞かれます。

このような貸金業者に対しては、数回に渡って、根気よく取引履歴の開示を求めるなど、毅然とした態度で望む必要があります。

もしどうしても取引履歴を開示しないようであれば、金融庁 事務ガイドラインに基づいて、行政処分の申し立ても検討した方がいいでしょう。

最終的に貸金業者が取引履歴の開示に応じなくても、心配する必要はありません。

過払金の返還請求をするには、推定計算をしたり、残高無視計算をした上で、貸金業者に金額の請求をする方法もあります。

司法書士 大竹弘幸