140.亡くなった人の借金を相続したくないときは？

Ｑ：　　亡父には多額の借金があったので、相続したくありません。何か方法はありますか？

Ａ：　　ご質問のケースの場合、「限定承認」と「放棄」という方法があります
（なお、権利も義務（債務など）も全て承継する場合は「単純承認」といいます）。

「限定承認」とは、相続によって得た財産の限度においてのみ借金などを支払う、といった承認の方法です（民法第９２２条）。

例えば、借金が結構あるが、もしかしたらプラスの財産のほうが多いかもしれない、といった場合です。

ただし、限定承認は、相続人全員が一致してでなければすることができません（民法第９２３条）。

一方「放棄」とは、その相続に関しては初めから自分は相続人にならない、文字どおり「相続人となることを放棄します」、とする方法です（民法第９３９条）。

放棄をすると、相続人ではなくなるので、プラスの財産も取得できませんが、当然借金にも無関係になります。

限定承認、放棄ともに家庭裁判所への申述が必要となります（民法第９２４条、第９３８条）。

また、相続人が、①相続の開始（被相続人が死亡したこと）を知り、かつ、②その相続について、自分が相続人となることを知ってから「３ヶ月」を経過すると、限定承認や放棄をすることができないとされています（自動的に「単純承認」となります。民法第９１５条）。

なお、いったん承認又は放棄をすると、原則として、あとで取り消すことができないとされていますので、注意すべきです（民法第９１９条）。

司法書士　榎本