288.内縁の妻は財産を相続できるの

Q：　　内縁関係である夫が病気となり、余命６ヶ月と診断されました。夫には戸籍上別の配偶者がおりますが、私たちは２０年間夫名義の自宅で一緒に生活しております。

友人に聞いたところ、内縁の妻は財産を一切相続出来ないといわれました。
どのような手続きを使っても相続できないのでしょうか？

A：　　内縁の妻には残念ながらどのような方法を使っても、相続をする権利は認められておりません。しかし、財産を承継する方法はあります。

まず、内縁関係とは、「社会的事実としては、夫婦共同生活体の実質を備えながら、婚姻の届け出を欠くために法律上の婚姻とは認められない男女の関係をいう」となっております。
有斐閣「法律学小辞典」より引用

この定義からすると、愛人関係や不倫関係、同棲をしているだけのような状態の場合には内縁とも認められません。

妻がいくら夫の療養看護や財産の増加に尽くしても、残念ですが一切の相続権や寄与分が認められないのが現在の法律です。

通常は婚姻届を提出しさえすれば、妻に相続権が発生し問題解決となるのですが、ご相談のケースの場合、前妻が戸籍に残っていると言うことなのでこの方法は使えません。

この様な場合には、夫に遺言書を書いてもらい、全財産を内縁の妻に遺贈するようにするといいでしょう。

前妻には、法律上の相続権があるので、遺留分を主張される可能性はありますが、少なからずとも内縁の妻が財産を取得することは出来ます。

また、生前贈与をすることも有効な手段でしょう。

司法書士 大竹弘幸