151.相続の法的効力（一般向）

Ｑ：　　相続を発生させるためには、何か特別なことをしなければいけないのでしょうか。

A：　　とくに何もしなくても自動的に相続は発生します。

　ある人が死亡すると、一定の者がその遺産を「相続」する。これはみなさんよくご存じですよね。
では、法律上はいつ、どのような流れで相続が発生するのかですが、法律上の規定は、
民法第８８２条に「相続は死亡によって開始する」とされています。

　これはどういう意味かと言いますと、その人が死亡した瞬間から、間髪入れずに遺産（すべての債権・債務）の法的な移動が始まるということです。

死亡したという事実が発生することだけで相続が始まるのです。

例えば、一般的な４人家族（お父さん・お母さん・子供２人）で考えてみましょう。

　不動産を所有するお父さんが死亡したとします。すると亡くなった瞬間に、不動産を所有する権利はお母さんと子供二人に自動的に移転するのです。お母さんが「相続します」と意思表示をする必要はありません。

また、子供たちが遠方にいてお父さんが亡くなったことを知らなくても、相続は開始します。

　しかし、この取得状態は確定的なものではなく、相続の放棄等や遺言、遺産分割などに影響を受けます。

司法書士　大竹弘幸