HOME >> 相続の相談, 相続の法律基礎知識, 相続のトラブル >> 227.相続債務を引き継ぎたくない時の方法(一般向)
2006年09月27日
227.相続債務を引き継ぎたくない時の方法(一般向)
Q: 亡くなった父に、かなり多額の債務があり、相続してもとても払っていけません。どうしたらいいですか。
A: このような場合には、次の2つの方法で債務を相続することを回避できます。
まず、1つ目の方法が、相続放棄をすることです。
相続放棄をすると、その人の相続に関して、初めから相続人にならなかったことになります。
この手続きは、自分自身で相続が開始されたことを知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述申し立てをしないと効力が発生しません。
一般に「よく相続を放棄した」という言葉が使われることがありますが、多くは「遺産分割で自分は財産を取得しなかった」という意味合いで使われますことが多く、前述の法律上の相続放棄とは違ったものです。
この法律上の相続放棄は、自分1人ですることが出来ますし、そうすれば自分自身は債務を引き継がなくて済みます。
しかし、他に相続人がいる場合など、全債務がその相続人にかかってきますので、根本的な解決にはならないかもしれません。
相続人全員が債務を引き継がないという合意が出来上がっているようなら、2つ目の限定承認という方法を使うことが出来ます。
限定承認というのは、亡くなった方の財産の額を限度としてのみ債務を引き継ぐ制度です。
簡単に言いますと、亡くなった方の財産を売却などの方法で清算をし、その財産額を限度として債務を支払い、債務が残った場合には、その分については相続人は引き継がないという制度です。
この手続きも相続放棄と同じく、相続が開始されたことを知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に限定承認の申述をしないと効力が発生しません。(通常は、債権債務の調査や財産目録の調整に時間がかかるので、裁判所に期限延長の申し立てをして、申立期間を延長します)
相続の放棄と大きく違うところは、放棄はそれぞれの相続人が単独ですることが出来たのですが、限定承認は共同相続人の全員でしなければなりません。1人でも 「イヤだ」 という人がいると出来ません。
財産と債務とどちらが多いか微妙なところという場合には、限定承認するのもいいかもしれません。
債務清算後に、財産が余れば、それはすべて相続人が相続することが出来ます。
司法書士 大竹弘幸
投稿者: 日時: 2006年09月27日 16:27 | パーマリンク | ▲このページの上へ
« 前の記事「226.相続人に未成年者がいる場合の遺産分割の方法」へ
次の記事「228.債務を引き継ぎたくないが相続放棄期間が過ぎてしまったら」へ »
トップページへ戻る
【相続の相談, 相続の法律基礎知識, 相続のトラブルカテゴリーの関連記事】
・相続人に知的障害がある人を含む遺産分割(相談311)
・債務者が死亡したら、誰に請求すればいい(相談308)
・295.遺産分割協議の期限
・294.遺言書の内容が生前言っていたことと全然違う!?
・292.相続人に外国に居住する日本人がいる場合の手続き
・291.介護の必要な息子のために、親が残してやれること
・290.遺産相続ー認知症高齢者の遺言
・289.未成年者は遺言ができるのか
・288.内縁の妻は財産を相続できるの
・278.遺言書で愛犬に財産を残したい
・276.遺言書に記載できること
・274.借地権の相続
・261.相続が発生した後、何をすればいい?
・260.メモ用紙に遺言を書いても有効?
・259.夫の両親が死亡した場合、嫁は相続できるか?
・228.債務を引き継ぎたくないが相続放棄期間が過ぎてしまったら
・227.相続債務を引き継ぎたくない時の方法(一般向)
・226.相続人に未成年者がいる場合の遺産分割の方法
・222.相続人の中に疎遠な人がいる場合の連絡方法
・221.遺言書がある場合に、それに反する遺産分割はすることができるか?
・220.遺産分割の方法
・178.具体的にもらえる相続の割合(一般向)
・177.妻の財産を夫に相続させない方法
・175.相続人となるはずだった人が死亡している場合(一般向)
・155.相続の昔(一般向)
・154.法定相続人は誰?(一般向)
・152.なぜ相続の制度があるのか
・151.相続の法的効力(一般向)
・149.不動産を相続したとき、登記に必要なもの
・146.特に遺言が必要なケース
・145.遺留分を侵害する遺言の効力
・144.遺留分を放棄することはできますか?
・143.遺留分を侵害されたときは?
・142.遺留分を主張できる相続人は? その割合は?
・141.遺産が他人に渡りそうなときは?
・140.亡くなった人の借金を相続したくないときは?
・135.遺言書がなかったとき、どうすれば?
・134.遺言書が見つかったとき、どうすれば?
・133.それぞれの遺言方法のメリット・デメリット
・132.遺言をする期限
・131.遺言書に書くと効果があること
・130.遺言の種類
・96.「遺言」について
・95.遺産の分配について
・94.「廃除」について
・92.相続欠格について
・91.相続人にあたる人
・90.相続について
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.shinanomachi.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/238