HOME >> 相続の相談, 相続の法律基礎知識, 相続のトラブル >> 143.遺留分を侵害されたときは?
2006年09月08日
143.遺留分を侵害されたときは?
Q: 遺留分を侵害されたとき、どうすれば遺産を取り戻せますか?
A: 被相続人が、遺留分を侵害する遺言を遺していた場合、又は、相続の開始(被相続人の死亡)時点から遡って1年以内に、被相続人が財産を贈与していたり、1年以上前でも、被相続人ら(当事者)が、遺留分を侵害すると知りながらした財産の贈与があった場合、遺留分を主張できる相続人は、被相続人から財産を受けた人に、遺留分に相当する財産を自分に返してくれと請求することができます。
これを「遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)」といいます(民法第1031条)。
遺留分減殺請求は、
①相続が開始したこと(被相続人が死亡したこと)、及び
②遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときから「1年以内」に、
遺言で財産を受けた人、又は生前に贈与を受けた人に対してしなければなりません。
また、相続が開始してから「10年」を経過すると、もはや請求自体することができません(民法第1042条)。
遺留分を主張する相続人は、相手方に対し、遺留分に相当する財産を「返してくれ」と、請求の意思表示すれば足りますが、通常は(配達証明付の)内容証明郵便等によって請求の通知をします。
これにより話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所による調停、さらには訴訟の手続きによることになります。
遺留分の減殺は、以下の順番で請求します(民法第1033条、1035条)
①「遺贈」
②「贈与」(最後に行われた贈与から、順次それ以前の贈与へ及んでいきます)
遺贈については、すべて同時に効力が生じる為、全ての遺贈について、対象財産の価額の割合に応じて減殺します(民法第1034条本文)。
請求を受けた人(ここでいう財産を受けた人)は、請求の対象財産を返還するか、又は、減殺を受ける限度において、対象財産の価額に相当する金銭で弁償することで、返還を免れることもできます(民法第1041条)。
また、請求の対象財産が既に処分されてしまった場合は、請求を受けた人は、財産相当額を弁償しなければなりません(民法第1040条第1項本文)。
司法書士 榎本
投稿者: 日時: 2006年09月08日 13:30 | パーマリンク | ▲このページの上へ
« 前の記事「142.遺留分を主張できる相続人は? その割合は?」へ
次の記事「144.遺留分を放棄することはできますか?」へ »
トップページへ戻る
【相続の相談, 相続の法律基礎知識, 相続のトラブルカテゴリーの関連記事】
・相続人に知的障害がある人を含む遺産分割(相談311)
・債務者が死亡したら、誰に請求すればいい(相談308)
・295.遺産分割協議の期限
・294.遺言書の内容が生前言っていたことと全然違う!?
・292.相続人に外国に居住する日本人がいる場合の手続き
・291.介護の必要な息子のために、親が残してやれること
・290.遺産相続ー認知症高齢者の遺言
・289.未成年者は遺言ができるのか
・288.内縁の妻は財産を相続できるの
・278.遺言書で愛犬に財産を残したい
・276.遺言書に記載できること
・274.借地権の相続
・261.相続が発生した後、何をすればいい?
・260.メモ用紙に遺言を書いても有効?
・259.夫の両親が死亡した場合、嫁は相続できるか?
・228.債務を引き継ぎたくないが相続放棄期間が過ぎてしまったら
・227.相続債務を引き継ぎたくない時の方法(一般向)
・226.相続人に未成年者がいる場合の遺産分割の方法
・222.相続人の中に疎遠な人がいる場合の連絡方法
・221.遺言書がある場合に、それに反する遺産分割はすることができるか?
・220.遺産分割の方法
・178.具体的にもらえる相続の割合(一般向)
・177.妻の財産を夫に相続させない方法
・175.相続人となるはずだった人が死亡している場合(一般向)
・155.相続の昔(一般向)
・154.法定相続人は誰?(一般向)
・152.なぜ相続の制度があるのか
・151.相続の法的効力(一般向)
・149.不動産を相続したとき、登記に必要なもの
・146.特に遺言が必要なケース
・145.遺留分を侵害する遺言の効力
・144.遺留分を放棄することはできますか?
・143.遺留分を侵害されたときは?
・142.遺留分を主張できる相続人は? その割合は?
・141.遺産が他人に渡りそうなときは?
・140.亡くなった人の借金を相続したくないときは?
・135.遺言書がなかったとき、どうすれば?
・134.遺言書が見つかったとき、どうすれば?
・133.それぞれの遺言方法のメリット・デメリット
・132.遺言をする期限
・131.遺言書に書くと効果があること
・130.遺言の種類
・96.「遺言」について
・95.遺産の分配について
・94.「廃除」について
・92.相続欠格について
・91.相続人にあたる人
・90.相続について
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.shinanomachi.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/154
この一覧は、次のエントリーを参照しています: 143.遺留分を侵害されたときは?:
» 294.遺言書の内容が生前言っていたことと全然違う!?
送信元 登記・法律相談BLOG
Q: 父が遺言書を残して死亡しました。母は以前にすでに死亡しており、相続人は私... [詳しくはこちら]
トラックバック時刻: 2007年05月02日 21:47